岩本ナオ『金の国 水の国』感想。
ロミオとジュリエットの話だと聞いて、分厚い単行本を手に取りました。
- 作者: 岩本ナオ
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2016/08/05
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログ (1件) を見る
二人の愛の話だけじゃなかった。
その周りの人々それぞれの思いが有機的に絡み合って、物語が織り込まれている。
いつも岩本ナオさんの作品は、凄く心に刺さるものがあるのに、何がどう良かったとは言いづらい。
『町でうわさの天狗の子』もそう。
たぶんそれは、“たくさんの人物や国の持つ、小さな真心一つ一つが、最後に全てガシッと組み合うこと”が、彼女の持ち味だからなのだと思う。
主人公達の互いを慈しむ心、それぞれの国の持つ良い所、脇役の特技と本気、悪役の本当の気持ち。
その一つ一つがちゃんと本気であって、全て読み手へ訴えかけてくるのだ。
繊細に煮込まれ、具の細部までスープが染み込んでいるシチュー的な。
お肉がホロホロ的な。
一撃ですよ。
そんな作品に恥じない人間になりたいと思わせてくれるような作品だと思います。
そして、相手役が、まじ格好良い。